CPQによる正しい見積もり

このページでは製造業における「正しい見積もり」とは何か、「正しい見積もり」を行うためにどうしてCPQが必要になるのか、お伝えいたします。

製造業における「正しい見積もり」とは

皆さまが設計・解析をされているような製品には、BtoC の製品もあれば、BtoB の製品もあると思います。また製品も最終製品だけではなく部品だったり、単一の製品ではなく、いくつかの製品をセットでシステムとして販売する場合もあるでしょう。いずれにしても量販店でユーザー自身が選んで買うような製品でない場合、営業部門で見積もりを作成する、ということが必要になります。

この「見積もり」という業務は、様々なことを考慮する必要があり、正しく見積もるのは意外と難しいものです。例えば、営業担当が見積もるとき、

・ お客さんのやりたいこと、ほしいモノ(要件)を把握する ・自社のどの製品がふさわしいかを絞り込む 
・お客さんの要件からその製品の仕様・機能を選ぶ
 ・さらに必要があれば、オプションを追加する
 ・価格を積算する

といった作業を、カタログを見ながら頭の中でしていることでしょう。

製造業において、「正しく」見積もるということは

・お客さんの要件に対して製品、仕様・機能、オプションを正しく選択する
・決めた仕様構成が実際に製造できるもの、営業的に売って良いものである

ということです。

「正しい見積もり」が難しい理由

これは皆さまが普段行われているシミュレーションと似ているのではないでしょうか。

1 つ目(お客さんの要件に対して製品、仕様・機能、オプションを正しく選択する)はいわゆるモデルの妥当性で、2 つ目(決めた仕様構成が実際に製造できるもの、営業的に売って良いものである)がモデルの正当性に当たるのではないかと思います。

見積もりも同じで、これらが「正しく選択」できないと精度の高い見積もりになりません。見積もり(受注仕様)が正しくないと、製造部門でのチェックで仕様変更が必要になったり、出荷後にクレームなどが発生してしまいます。また価格が正しくないと、利益が減ってしまうことにもなりかねません。

日本のお客さんは機能にこだわりがあり、「標準の仕様では足りないからこう変えてほしい」など言われることも多いと思います。大工道具のようなものであれば、お客さん自身がそれを自分たちで手入れすることもできますが、今の製品ではそういったことが難しいので、きめ細かく対応しようと思うと、仕様のバリエーションがどんどん増えてしまうことになります。(Apple の故スティーブ・ジョブズのような人がいれば別ですが)

また、そうした仕様の組合せが設計・製造上問題ないのか、必要な性能が出るのか、といったことを全ての組合せで検証することは、現実的でありません。そうなると、あらかじめ設計・製造上問題ない組合せや、実績のある組合せの場合だけしか保証できません。

仕様の関連する項目が 2~3 であれば問題ありませんが、5 個以上あると組合せがあっという間に増えて、とても人間で管理できるレベルでなくなってしまいます。

また、製造するためには細かい仕様まですべて決める必要があり、製品によっては仕様項目の数が 100 に達するものもあります。しかし営業担当が全て適切に選択することは難しいと思います。そのような場合、あらかじめデフォルト値を決めておくといったことをしますが、これも製品で一律に決まるのではなく、ある部分の材質が SUS400 だったら、別の部分の材質もデフォルトは SUS400、といった条件によって変わる場合もあるでしょう。

さらに、価格もやっかいです。例えば、仕様やオプション毎に価格が決まっていてそれを積み上げるだけでなく、ある仕様とある仕様が組み合わさるときだけ価格が変わったり、直販する場合と代理店に出す場合で違ったり、仕向けによって運賃が変わったりします。また、キャンペーン期間だけ価格が変わることもあるでしょう。

こうした様々な製品仕様や価格に関する知識がないと、「正しい見積もり」をすることは至難の業です。以前グローバル展開されているお客様が「1 台の機械を正しく見積もれるのは世界で 2~3 人しかいない」と仰っていたこともあります。

CPQで「正しい見積もり」を作れるようになるメリット

以上のことからお分かり頂けたように、複雑な製品をもつ製造業では、①顧客要求を反映している ②製造可能である ③価格が正確である これら3つを満たす「正しい見積もり」を作成することは大変です。逆にいうと、見積もりの仕組みがしっかりしていて、すぐに見積もり回答できる会社が、競合よりつよいことは言うまでもありません。

CPQによって、このような「正しい見積もり」をすぐに、確実に実現できるようにすることで、見積もり回答をはやめ、見積もり回答の遅れによる受注機会のロスを軽減できます。また、仕様の組合せによる見積もり、すなわちマスカスタマイゼーションの実現で、製品の強みを活かした営業の仕組みを整えることができるのです。